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縦軸に金利水準、横軸に資金の需要・供給量がとられたこのグラフにおいて、右上がりに書かれたS曲線は金利が高ければ高いほど現在の消費を節約してより多く資金を供給してもよいと黒字主体が考えていることを示し、右下がりに書かれたD曲線は、金利が高ければ高いほど現在の投資を控えて、より少ない資金を借りようと赤字主体が考えるという、赤字主体の資金需要を示しています。
ここで、もし、資金の貸借に次に説明するようなコストがかからないとすれば、借入金利と貸出金利は等しくなります。
これに対し、例えば、資金移転にコストがかかり、それを資金の借手が負担しなければいけない、という場合を考えてみましょう。
例えば、誰が余裕資金の持ち主かわからず、資金の借手が自分の時間と費用で余裕資金の持ち主を探し、かつ貸手に資金返済能力を証明してみせる必要がある、というような場合です。
借手は貸手への支払い金利・比に加え、貸手を探すための調査費や返済能力の証明のための審査・手続き費用としてCを払わねばならないため、借手にとって実質的な借入金利は.とプラスCの恥となり、資金供給量と資金需要量が等しくなる資金移転量はEにまで減少してしまいます。
こうした場合には、資金を借りて経済活動を行う可能性が大きく制約されるため、企業は設備投資などがやりにくくなり、経済成長も制約されるかもしれません。
こう考えると、金融ひいては金融仲介を行う金融機関活動の効率性は、経済にとって極めて大切であることが理解できるでしょう。
金利の決まり方についての以上の議論は、わかりやすく説明するために、金融活動を極めて単純化してしまっています。
現実には、金利は金融部門だけで決まるわけではなく、消費、投資、輸出入など、モノやサービスの動きにかかわる経済の実物部門の動向からも影響を受けますし、また、現実の経済に存在する金利は単一ではなく、さまざまな金利が相互的な関連を持って存在しています。
金利についての理解を深めるには、こうしたさまざまな要素について理解を広げていく必要があります。
自然利子率と市場利子率Cは、経済の実物要因として企業が新たに購入する資本財(生産に用いる資財)の予想収益率を考えて、これを自然利子率と呼び、銀行が企業や家計に貸し付ける際に要求する市場利子率(金融上の利子率)との相対関係を考え、市場利子率が自然利子率を下回る限り資本財に対する超過需要が解消されず持続的インフレーションが起こると考えました。
C は、「自然利子率に比べ不適切な市場利子率水準」といった誤ったシグナルが金融市場から発せられることが、経済全体に大きな不均衡を発生させると考えたとも言えるでしょう。
金利に与える実物部門からの影響については、古くからさまざまな議論が積み重ねられてきました。
その結果、経済の実物要因が長期的な均衡金利を決める、という考え方が、現在では経済学における主流を占めていると言えます。
これに対して、われわれにとってより実際的な、短期の金利については「財市場の均衡という経済の実物要因と、通貨市場の均衡という金融的要因の相互作用で決まる」というのが今日でも標準的な説明となっています。
ところで経済の実物要因が長期的な均衡金利を決め、金融業の役割は、それ自体が価値を生み出すというより、価値を生み出す生産部門間の資金移転を円滑に行うことであるという点、および金利の本質は、資金移転に際して実物部門の収益率に応じて資金配分を行うシグナルだという点は重要です。
しかし、そのことは、「企業はあくまでも生産に精を出すべきで、金融に手を出し、財テクで収益を上げるのはその本分にもとる」という議論や、「デリバティブなどの金融新商品の発達は、金融に賭博同様の投機を持ち込むもので、規制が必要」という議論が支持されることを必ずしも意味するものではありません。
財テクの背景に情報通信技術上の進歩があり、企業が伝統的な専門金融機関にすべてを頼らなくとも多くの金融活動を行うことが可能となったことは、資金移転の取引コストを下げ、より多くの主体が迅速に金利というシグナルに反応して資金の運用・調達を調整することが可能となったことを意味するものです。
先に説明したように、金融が円滑に行われ、赤字主体から黒字主体への資金移転がスムーズに行われること自体は、経済全体にとって極めて重要ですから、それが金融システムの不安定性をもたらすなど派生的問題を生むものでない限り、財テクを非難するのは不適当だということになるでしょう。
同様にデリバティブなどの金融新商品は、金融市場の効率性を高めるとともに後述する金利リスクを中心とした市場リスクの効率的配分にも重要な役割を果たしつつあります。
金利間の相互関係と金利自由化すでに述べたように、現実の経済に存在する金利は単一ではなく、さまざまな金利が相互的な関連を持って存在しており、そうした相互関連には制度的要因と市場メカニズムを反映した要因が併存しています。
金利自由化により、市場メカニズムで決まる自由金利の領域は大きく拡大しました。
しかし、郵便貯金制度を含む公的金融をどうするかなどの大きな問題も残っています。
さらに、自由金利間の相互関係がどのように決まるのかという点は、金融機関の行動原理はどのようなものか、また、金融機関が直面する金利リスクとはどのようなものか、という金融機関経営上の問題やツイスト・オペレーション(中央銀行が長期債と短期債に対して逆方向の売買〈オペレーション〉を行い、短期金利と長期金利の反対方向への誘導を目指す市場操作)の有効性がどの程度期待できるのか、というような政策的問題と深くかかわっています。
しかし、現在、わが国の金融システムに根本的な変革をもたらそうとしているのは、金融革新や金利自由化だけではありません。
もうひとつの要素として金融国際化があります。
金融国際化は、国内と海外の金利連動を通ずる金融政策の有効性への影響、多数の通貨が時差・為替リスクを伴う決済にかかわること等による金融システムの安定性への影響、内外金融機関・市場が金融取引にかかわることによる産業組織としての金融業への影響、など多様な影響をもたらすことが考えられ、今後の金融システムを考えるうえで極めて重要な意味を持ちます。
金利はもともとお金で支払われる利子(利息)を意味しますが、一般には利子率(元金に対する利子の比率)の意味で使われています。
ここではその表示方法と計算方法を簡単に述べておきます。
金利の表示方法と計算方法資金貸借の対価としての金利は、さまざまな形を用いて表示されます。
このうち、よく用いられるのは日歩と年利です(消費者金融などでは月利で表示したものをみかけることがありますが、この場合、年利表示も併用されているのが普通です)。
日歩とは、元金一○○円に対する一日当たりの利息金額で金利を表示したもの(例えば、日歩一銭二厘とは、一○○円に対して一日当たり一銭二厘の利息を払う)で、短期間の利息が簡便に計算できる利点があり、わが国では伝統的にこの方法が用いられてきました。
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